学ぶなら本格的正統派ESC Since 1969



質問169
 西田先生こんにちは。
 間接話法の時、主節と従属節との時間関係を明確にする必要がない場合(明らかな場合)は
時制の一致を行なわなくても構わないでしょうか?
 例えば”彼は東京生まれだと言った”の場合、生まれたのは彼の発言より過去であることは明らかですから He said (that) he was born in Tokyo.
 としてもいいでしょうか?
 また従属節が複文でその中に時間関係がある場合、時制の一致を適用すると時間関係が不明確になる場合があります。
 例えば
 ”私が駅についた時には汽車は出てしまっていた (The train had left when I arrived at the station.) と彼が言った
 場合、単純に時制の一致を適用すると
 He said that the train had left when he had arrived at the station.
 となってしまい、彼が駅に着く前に汽車が出たのか、彼が駅に着くと同時に汽車が出たのかわからなくなります。
 このような場合
時制の一致を適用しないで、
 He said that the train had left when he arrived at the station.
 とすることはできるのでしょうか?

ただし、をクリックすると音声が流れてきます
 まず「時制の一致」という基本的な約束事について少しお話ししておきましょう。
 「時制の一致」とは、時制の一致が必要である文については何の疑問も感じることなく、機械的に時制の一致という約束事を実行する約束事であると覚えておかれるとよいでしょう。
 「例えば”彼は東京生まれだと言った”の場合」ということですから、「生まれたのは彼の発言より過去であることは明らかですから」とか何とか疑念を差しはさむのではなく、機械的に時制の一致を実行し、
 
He said that he had been born in Tokyo.
 という文を発信します。これが「時制の一致」の基本であり、「時制の一致」そのものです。
 さて、基本は基本でよいのですが、基本から離れて文が発信されることもあります。まず、上の文は主節の「
He said」に視点をおいて時制を機械的に一致させた文章ですが、とはいっても、話者によってはその言葉を発信するその瞬間の視点を名詞節の中の事実において発話することがあります。つまり、「と言った」という過去は過去として過去時制を用いながら、同時に、その目的格となる名詞節の中身については「現在」という時制に視点をおいて発話している場合があります。そのときは、
 
He said (that) he was born in Tokyo.
 という文になり、それはそれで別に問題はありません。
 ようするに、視点を主節の過去時制において機械的に時制を一致させたか、視点を名詞節の中身において時制を一致させなかったかの問題であり、いずれも正しい文章です。

 つぎに、
 
He said that the train had left when he had arrived at the station.
 について、これは少しややこしい部分があります。
 名詞節の中の複文に焦点をあてて考えてみたいと思います。
 ...the train had left when he had arrived at the station.
 この部分の主たる動詞の時制ですが、これは過去完了という時制になっています。
 「主動詞 (
the main verb) で時制が明確な場合、他の動詞の時制を簡素化させる」
 という約束事がありますが、これを英語では

 Tense simplication

 とよんでいます。
 上(名詞節)の場合、主動詞の時制が過去完了という時制であることがすでに明確です。そのため、名詞節内の副詞節の中の動詞 (
arrived)は時制が簡素化され、過去時制になります。その結果、
 ...
the train had left when he arrived at the station.
 という文が成立し、
  He said that the train had left when he arrived at the station.
 という文章が正しい文章として成立いたします。なお、
 He said that the train had left when he had arrived at the station.
 という“文”が発話されたとすれば、正しい文章の発話ではありません。理由を解説したいのですが、混乱をさけるため、今回はここでとめておきましょう。とりあえず、
 「時制の簡素化をしなければならないときは時制を簡素化しなければならないのであり、時制の簡素化をしない“文”は誤りの文である」
 と覚えてください。それはそれなりの正しい理由なのです。
 
 ご質問ありがとうございました。また何かございましたらお便りください。楽しみにお待ちしています。
(西田)
事務局よりちょっと一言
いろいろなご質問を e-mail でお寄せいただきありがとうございます。
学院長は毎日、たくさんの授業を受け持っておりますので、なかなか皆さまのご質問すべてに即お答えする時間がございません。
少しずつではありますが、このコーナーをおかりして回答させていただきますのでご了承ください。
未回答質問集を準備しています。左のアイコンをクリックしてください
ご質問は左のアイコンをクリックしてください
(日高)